MORNING BRIEF
2026年8月3日(月) 版

この日のブリーフ

前日の米国市場

7月31日の米国市場は、主要3指数が揃って上昇した。S&P500は前日比0.70%高の7,489.72、NASDAQ総合は1.00%高の25,373.85、ダウ工業株30種は0.53%高の52,485.03で引けた。ハイテク株の比率が高いNASDAQの上昇率が相対的に大きく、半導体などグロース株への買い戻しが入ったとみられる。前月のNASDAQは2025年3月以来の大幅安となったが、月末最終営業日は堅調だった。背景には、好調な企業決算への期待に加え、地政学リスクの後退が投資家心理を改善させた面がある。トランプ大統領がイランへの攻撃計画を中止し、取引の大枠で合意したと発表したことが、原油高や中東情勢への懸念を和らげた。「Trump cancels planned attack on Iran, saying he reached an agreement over the 'perimeters of a deal'」(CNBC)と報じられている。もっとも、同日の原油価格(WTI)は、7月27日時点の84.25ドルからの変動が確認できず、地政学リスク緩和の影響を読み取るには材料不足である。

米国債利回りは、2年債4.28%、5年債4.45%、10年債4.75%、30年債5.27%と、長い年限ほど高くなる順イールドが継続した。2年と10年のスプレッドは約47bpと、前日対比での大きな変化は見られないが、タームプレミアムが高止まりしていることを示唆する。長期金利の上昇は、好調な経済指標を背景としたソフトランディング期待と、財政悪化への懸念の綱引きを映したものと解釈できる。同日は、航空運賃高騰の背景にある燃料費上昇がニュースとなり、インフレ鈍化の足取りが依然として重いとの見方もくすぶった。

為替市場では、ドル円相場の当日の水準は未確認だが、7月29日時点の東京市場スポット中心相場は163.68円だった。この水準は歴史的な円安圏にあり、日本政府・日銀による円買い介入への警戒感が燻る中、8月2日には「Japan to announce that Tokyo and Washington took joint action to support the yen」(CNBC)と伝えられ、日米協調介入観測が浮上している。実際の介入実施の有無に関わらず、口先介入だけでも短期的な円先高観を後押しする可能性がある。

セクター別では、個別に材料の出た銘柄への物色が目立った。医薬品では、英アストラゼネカと米ブリストル・マイヤーズ スクイブの合併観測が報じられ、大型M&A期待が広がった。半導体では、AMDやサンディスクが決算発表を控えて収益モメンタムが意識され、指数高に寄与したとみられる。エンターテインメントでは、ソニー・マーベル配給の『スパイダーマン』新作が全米で推定3億5500万ドルの初動を記録し、興行収入の回復期待が一部小売・メディア株を押し上げた。また、OPECプラスは9月の増産で合意したが、イラン・ウクライナ情勢による供給混乱で実効性は限定的との見方があり、エネルギー株への影響は中立だった。

金価格は当日の水準を確認できず、安全資産としての動きは評価できない。原油も上記の通り、7月27日時点のWTI 84.25ドルから大きな変動があったかは定かでない。一方、同日は米連邦住宅金融局によるコンドミニアム向け住宅ローン新規則の適用開始日でもあり、住宅株の一部に思惑が生じた可能性はあるが、相場全体への影響は限定的だった。

日本市場への波及経路としては、米株高と円安基調が日本株の下支え要因となり得る。特に半導体関連株の好調は、東京エレクトロンや信越化学など関連銘柄への追い風になろう。ただし、日米協調介入観測の高まりはドル円の上値を抑え、輸出採算への過度な楽観を戒める材料となる。円金利トレーダーにとっては、米長期金利の高止まりがJGBイールドカーブのスティープ化圧力を継続させる一方、介入に伴うドル資金需給の変化がクロスカレンシーベーシスに影響を与える可能性に注意が必要だ。7月最終週を無事に通過した安心感から、週初の東京市場はリスク選好的な地合いで始まると予想されるが、介入警戒と原油動向次第では変動率が高まる余地を残す。

日銀・円金利・JGB

日銀7月会合:金融政策据え置き、長期国債買入れ予定を更新 ― 円安・米金利高の狭間で

日銀は7月31日の金融政策決定会合で現状維持を決定。先行きの国債買入れ予定や米ドル供給オペ日程を更新。展望レポートも公表され、総裁会見が行われた。植田総裁のハト派継続姿勢が示された場合、円相場は163円台と歴史的な円安水準からの更なる下落リスクを残す。

9出典
日本株: 個別・セクター・決算

住友化学の事業構造改革と財政リスク上昇が日本株に与える含意

住友化学は2024年3月期に過去最大の最終赤字を計上し、事業構造改革を加速。サウジアラビアの石化事業「ペトロ・ラービグ」再建や医薬品子会社の切り離しを進める。一方、長期金利上昇に伴い政府利払い費が急増し、財政の持続可能性への懸念が高まっている。本稿では、住友化学の個別決算・セクター再編とマクロ財政環境の変化を、ヘッジファンドアナリスト、円金利トレーダー、ストラテジストの3視点から分析する。

3出典
需給・ポジショニング

月末の供給イベント集中:新規ETF上場、監理銘柄指定が示すポジション調整リスク

7月末、東証でETF新規上場や監理銘柄指定が相次いだ。ドイツ短期国債ETFや超長期国債ETFの上場は新たな需給要因となり、Abalance、NSユナイテッド海運、フューチャーの監理銘柄指定はコンプライアンス売りを誘発し得る。JMCの市場変更、nmsホールディングスとウィル・ドゥの上場廃止決定もパッシブファンドのリバランスを迫る。直近の米国株は上昇も、国内では供給イベントが個別株・セクターのポジションに影響を与える局面とみられる。

10出典
各国マクロ

米企業利益の堅調と中東地政学リスクの高まり、日銀の円滑な資金供給姿勢

米主要企業の利益が5年ぶりの高水準となる一方、中東ではイランと米国の緊張が高まり、ホルムズ海峡の船舶管理でオマーンとの合意が視野に入るなど、不透明感が増している。日本では日銀が7-9月期の長期国債買入れ予定を更新し、8-12月期のドル資金供給オペ日程を公表、7月31日には植田総裁の記者会見動画が公開された。米国株は底堅く、S&P500は0.70%高。米10年債利回りは4.75%と高止まり。これらのマクロ要因が市場の綱引きを生んでいる。

6出典
米金融政策・米金利

地政学リスク後退がもたらす米金融政策の再評価—日本市場への波及経路を探る

米国の対イラン攻撃が合意枠組みで回避され、中東リスクプレミアムが急縮小。OPEC+も9月増産で供給不安を抑制し、原油価格上昇圧力が和らぐ見通し。これらは米インフレ期待の鎮静化を通じ、FRBの早期利下げ観測を再燃させる。一方、日米共同の円買い介入表明は、ドル円のボラティリティを高め、日本株の為替感応度に影響を与える。米長期金利は既に7月末に4.75%と高水準にあり、地政学リスク後退で低下余地が生じれば、グロース株やJ-REITに追い風となるが、介入は円キャリー取引の不安定要因として作用。本稿では、これら複合的シグナルが日本市場にもたらす具体的含意を、3つのペルソナ視点で深掘りする。

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